映画「The True Cost」
- 2018-04-11
- 2 Comment(s)
サブタイトルにもあるように映画のテーマは「ファストファッション 真の代償」
映画は2013年4月にバングラデシュに起きた商業ビルの崩壊から始まります。
2013年4月、バングラデシュでラナ・プラザという商業ビルが倒壊して1100人以上が亡くなり、3000人以上のけが人が出ました。この商業ビルには欧米の衣料品27ブランドを製造するの縫製工場が5つ入っていました。
事故の前に現場の労働者は、建物に亀裂が入っていることなどを経営陣に報告していました。しかし経営陣はまったく取り合わずその危険なビルで働くことを労働者に強いたのです。
労働者たちは労働環境の改善などを求めても理不尽な暴力を振るわれます。
カンボジアでは、縫製工場労働者のデモ隊が発砲され、死者が出る事件も発生しています。要求したのは生きるために必要な最低賃金の引き上げです。
写真の女性はバングラデッシュの縫製工場で働く労働者。
服を作るのがどれだけ大変か人は知りません
ただ買って着るだけ
でもその服は私たちの血でできています
私たちの血でできたものを誰にも着てほしくありません
自分の子供にはこんな仕事させたくない
衣料品の材料である綿や革の生産にもいろいろな問題があります。
僕がインドにいた時に知ったのですが、農民が平均30分に一人自殺しているという話。
インドは綿の生産量が世界第2位です。インドの綿農家がモンサント社が開発した遺伝子組み換えの綿「Btコットン」の種を使用することにより、窮地に陥っているというのです。もともとBtコットンは遺伝子組み換えにより害虫に強く、農薬も必要ない、しかも収穫量も多いコットンとして宣伝され、導入されたものです。しかし現実は大量の農薬を必要とし、収穫されるコットンの質も悪いのです。
種自体が高価で自家採種した種を翌年使用することも禁止され、農薬もセットで購入しないといけない。借金は膨れ上がり自殺へと追い込まれる農家が後を絶たないということです。
防護服も持っていない彼らへの農薬による健康被害も深刻です。
また、皮革産業による環境破壊も深刻です。インドのカンプールは皮革産業の盛んな地域ですが、産業排水のほとんどがそのままガンジス川に流されます。もちろん皮革産業で使用されるクロミウムやヒ素、鉛なども含まれます。
ガンジス川は4億人が飲み水として利用しているといわれ、広大な農地にも使用されています。なめし工場の労働者だけではなく、周辺住民、工業排水が流れ込む農地の農民に深刻な健康被害をもたらしています。
僕にもカンプールの革のビジネスのオファーがあったのですが断りました。儲かりそうですけどね。
ファストファッションは当たり前になりすぎていて、すぐに無くなることはないでしょう。
安くておしゃれな物が簡単に買えるなら、みんなそういう物を消費してしまいますよね。
値札を見た時に「どうしてこんなに安いのか?」と疑問を持ったり、想像力を働かせて、その物がどうやって作られているのか考えることも重要だと思います。服を機械じゃなくて一つ一つ労働者が作っていることも、もしかしたら知らないかもしれません。
以前からなんとなく知っていた労働者の問題や環境問題が、この映画を見ることで繋がって全体像が見えてきました。
現在、問題は非常に大きいですが、消費者一人一人が考えることによって、状況はいい方向へ向かうのではないでしょうか。
この映画はそのきっかけになると思います。
DVDも発売されていますし、市民上映会も各地で頻繁に行われています。
ぜひ一人でも多くの方に観ていただきたい映画です。
2 comments on “映画「The True Cost」”
映画ご紹介頂きありがとうございます。
是非観たいと思います。
環境や動物福祉に配慮した商品にとても共感しました。
サンスクリット語のお名前素敵ですね~♪
私もヒンドゥー文化が大好きでずっとフォローしています。
また寄らせて頂きます。
記事を読んでいただきありがとうございます。
物を消費する人みんなに見ていただきたい映画です。ぜひご覧ください。